ふり向くと

 稲の穂がゆれるころには

 もう秋の気配が辺りにみえる


 晴ればっかりじゃ稲はしおれ

 長雨がつづいても稲はくさる


 豊かな実りを天に祈ると

 水たまりのなかにドジョウがいた


 生きている小さないのちに

 大丈夫かお前 と言ってやる


 夕ぐれのうす暗い畔のうえに

 ホタルが白い線をひく


 カエルが田んぼから飛びだして

  コンクリートの道にでた


 そこはあかんと言ってやる

 田んぼににもどれと言ってやる


 ふり向くと

 クウーン って ドジョウが鳴いた