南風

   


   いわし雲のひろがる真っ青な空を

   あぜ道のそばの小陰からみる

   まるで絵はがきのような

   紀伊半島の美しい空


   その空の遠くに

   山肌をぬうように鷺が飛んでゆく

   田の草とりのあいまに

   冷えたお茶をで喉をうるおすと

   きもちのいい風が吹く


   その風にあおられて

   めくれた「しんぶん赤旗」に

   8人のよろこびの写真

   それは絵はがきではない

   まぎれもない現実だ


   そうだ

   この夏の風にのって

   くにの隅々を駆けめぐれ

   人々を駆けめぐれ


   稲穂が吹く風にゆれるように

   とぶ鷺もゆれている

   まるで俺のこころを見透かして

   田のあぜを吹きぬけてゆく


   仲間たちとどよめいた

   あの7月21日の深夜

   苦悩を歓喜に変えたもの

   そうだ

   91年もの星霜を越え

   この国にたしかに刻んだ者たちの党


   紀伊半島に吹く南風よ

   田のあぜに 吹け 

   この者たちのいまに 吹け

   あしたに 吹け

   みらいに 吹け