駅を出てすこし歩くと

  もう人家はない

  刈りとられた田んぼは

  ちっとばかり広々として

  白鷺が近くを飛ぶ


  いつものことのように

  刈りとられた田んぼがふえ

  もう間もなく秋がやってくる

  こんな透明な風景を

  失ってしまわないように


  きみに見えるだろうか

  虫が鳴いているこの野が

  視線の遠くむこう

  夕ぐれの空をゆく渡り鳥たち

  星がまたたきはじめて


  いつものことのように

  鬼ヤンマが飛びちらう

  もう間もなく秋がやってくる

  その季節を迎えられるよう

  さあ 深呼吸をしよう